論文誌

会話量子化器を用いた会話場面の記録

Abstract

本論文は,個人の価値観に沿った形で会話を記録することを目的として,人が会話に参加しながら,会話中の特徴的な場面を映像として抽出するための装置である会話量子化器を提案する.会話量子は連続した会話の流れから切り出した意味的なまとまりを持つ最小の会話断片であり,会話量子化とはこの会話断片を持続的に蓄積することにより,元とは異なる会話の場において元の会話のエッセンスを再利用可能とする枠組みである.本論文では特に,会話量子の前提となる会話断片の獲得手法を検討するため,1 ボタン型のプロトタイプ版会話量子化器を開発する.ここでは,会話のどの部分が重要であったかは後になって気付かれがちであることに着目し,会話断片を切り出す時間区間のin 点とout 点をボタン押下数によって遡及的に決定可能とする.また,操作者の話し手あるいは聞き手としての振舞いを妨げないことを考慮する.最後に,遡及量決定手法に違いのある4 種類の会話量子化器を用いて会議から会話断片を獲得する実験を実施し,操作記録とアンケート結果に基づいて,会話量子化器の設計と抽出された会話断片の持つ特徴について議論する.

Artifacts

Information

Book title

情報処理学会論文誌

Volume

48

Issue

12

Pages

3703-3714

Date of issue

2007/12/15

Citation

久保田 秀和, 齊藤 憲, 角 康之, 西田 豊明. 会話量子化器を用いた会話場面の記録, 情報処理学会論文誌, Vol.48, Issue.12, pp.3703-3714, 2007.